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スマトラ特産のアゲハ2種について Papilio diophantusイナズマモンキアゲハと
Papilio forbesi フォルベシイアゲハ


イナズマモンキアゲハ(Papilio iophantus)はベニスジモンキアゲハと称することがあり、後翅裏面の前縁基部に鮮明な赤い2条の條を持つ、尾状突起の形も基部が細く、オスの翅表にビロード状の性標がないことなどから、モンキアゲハ(Papilio helenusの近縁種ではないらしい。まずイナズマモンキアゲハのメスの裏面の写真を見て見よう

赤い2条の斑紋が明瞭で、次にこのチョウの表面を見て見よう



後翅に白い斑紋はあるが、細い白帯が前翅から後翅の第1室まで続き、モンキアゲハとは異なった斑紋になっている。ダブレラの東洋区の蝶の図鑑にこのチョウのメスについて
The female which is very scarce in collections と書いているが、メスはかなり珍品とされているらしい



次にオスの写真を見て見よう。




オスの表面は白紋が大きく細い白帯は目立たないが、裏面にはメス同様上下に白帯がある。

また後翅裏面上部の赤い條はメス同様に存在する。このチョウはスマトラの北部の高地でのみ知られ、カロヒルが産地になっている。スマトラでも南部からは記録がないらしい。

このチョウについて西山保典氏はTsu-i-so No1452 に「とても不思議な蝶だ、どうして不思議かというと 近縁と思われる種が 思い当たらないのである。」とこの種の特異性をあげておられる。今回はメスが採集でき幸運だったと思われる。

Papilio forbrsi フォルベシイアゲハ(フォーベシイアゲハ)

左に裏面、右に表面を示す。

このチョウは翅の形や前翅裏面基部の赤い斑紋の存在など、ナガサキアゲハの近縁を思わせるチョウである。スマトラ特産で、カロヒルなどの1000m以上の高地から知られている。山地性のナガサキアゲハの近縁のチョウである。

塚田編の「東南アジア島嶼の蝶」には「山地性のナガサキアゲハと呼んでよく、山麓から得られることはなかった。北スマトラのカロヒルが主産地である」と書いてある。しかし、あまり多い種類ではなく、川の付近で少数が得られえたのみだった。後翅表面に白い紋があり、

裏面には黄色い部分が見られ、独特の斑紋を示していた。