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スマトラ カロヒルのジャノメチョウの仲間(2) コジャノメ(Mycalesis)類

スマトラのジャノメチョウを紹介する前に
採集した場所のカロヒルの位置を確認して見よう。左の図の赤いマークの場所で、スマトラの北西部にあり、北緯約3度、東経約99度ぐらいの位置にある。緯度は熱帯だが、標高が1000mから1500mの高原地帯で、朝夕涼しく、農地ではキャベツやレタスの高原野菜も作られていた。トバ湖という湖と火山のシナブン山の間にあり、まだ熱帯雨林の残っているところで、チョウも多いところとされている。

ここで採集したコジャノメの仲間を紹介しよう。
マルギナタコジャノメ Mycalesis marginataマルギナタコジャノメ
M.marginataは地色がオレンジ色の中型種で、カロヒルでは高原の荒れた草原で見られた、スマトラとボルネオの高原からのみ得られている。

Mycalesis mnansicles ウスコモンコジャノメ=ムナシクレスコジャノメ
ウスコモンジャノメはMycalesis属の中で最大種とされ、ミヤンマー・マレー半島、ボルネオとスマトラに産する。
コジャノメの様な裏面に白條はないが、翅型が独特で、大型になる。カロヒルではあまり多い種類ではなく、少数得られただけだった。左は裏面。右は表面

Mycalesis janardana ウラナミコジャノメ=ヤナルダナコジャノメ
ウラナミコジャノメはマレー半島・スマトラからフィリピン南部やモルッカ諸島まで分布が広い。表面は濃い褐色で、裏面の白いラインの外側に眼状紋が並び、前翅に56個、後翅に7個が並ぶ。
カロヒル高原では普通種で、森林の縁や農家の周辺で見られた。左は裏面、右は表面

 





Mycalesis orseis アイイロコジャノメ

アイイロコジャノメはスマトラの他インド、ミヤンマー、マレー半島、ボルネオに分布するが、ジャワ・スラウェシにはいない種で、カロヒルでは森林の縁で見られた。裏面前翅に5個、後翅に7個の眼状紋があり、地色はやや薄い茶褐色のものが多かった。左は裏面、右は表面

Mycalesis maianeas ヌスビトコジャノメ
本種の前翅表面には橙褐色の部位がある。スマトラ・マレー・ボルネオに産し、裏面には前翅に2個、後翅に7個の眼状紋がある。カロヒル高原では森林の周りで得られたが、多く見られる種では無かった。右に裏面とラベルを、左に表面を示す。

Orsotriaena medus シロオビイチモンジジャノメ=メダスニセコジャノメ
本種はMycalesis属ではないが、生態が似ているので、この位置に入れた。これまでメダスニセコジャノメの和名を用いることが多かった。スマトラでは普通種で、森林でも、農村周辺でも多く見られ、裏面の白い條が目立ち、前翅裏面に2個、後翅裏面に3個の眼状紋がある。
左は裏面、右は表面